読書感想「おいしいごはんが食べられますように」

高瀬隼子. おいしいごはんが食べられますように. 講談社, 2022

<二谷から大学の時にすすめられた本、今更読んだわ>
引用:高瀬隼子. おいしいごはんが食べられますように. 講談社, 2022, p.120

同じだった。私も身近な人にすすめられて半年たってやっと読んだ。

あらすじはなんとなく聞いていて、
「ある職場で3人の同僚が居て、①30歳ぐらい(正しくは29歳)の普通の男性がいたとして、②男性の1歳上のか弱い女性(男性の恋人)、③男性の2歳下の仕事ができる女性(男性の後輩)、恋愛的に三角関係ではないけれど、職場や仕事的に少し問題のある3人、3人のうちどの立場に共感するか、読んでみて。例えばある日、②の女性(男性の恋人)が職場にお菓子を持ってきたのだけど、①の男性はそれをゴミ箱に捨てて、③の女性がそれを②の女性の机の上に置いたんだよね。」
という流れだった記憶。

3人のうちどの立場に共感するか、という問いに対して、答え合わせが楽しみ。
3人のうち、という話だったけど、読み始めて一番最初に共感したのが④の藤さん。

誰でもみんな自分の働き方が正しいと思ってるんだよね、~~~
引用:高瀬隼子. おいしいごはんが食べられますように. 講談社, 2022, p.42

最後まで共感したのも④の藤さん。まさか奥さんに逃げられるとは。

まあそれは置いておいて、3人のうちとなると私なりの解釈としては、
①二谷:高校生かな、部分的に自立できていない気がする。
②芦川:社会人の一つ。ただ承認欲求が強いのか、貢献することに依存してる気がする。
③押尾:大学生かな、自分が世界の中心だと思ってる。

共感できる順番としては、①≧②>>>③だった。

これ、自分自身の環境や経験で、共感できる人が変わってくるから、3人のうちどの立場?とかは結構変わるだろうなと思った。個人的にこの3つで通った道と思えるのは、①→③→①→②→①。この後も考えは変わるかも。

もう少し細かく感じたこと、辛口よりで。

①の二谷さんについて、食事のことで、サプリ編とかおいしいという言葉編とか夜ラーメン編とかあるけど、食事について色々とこだわってしまうのは、食事とか他のこととか色々と自分自身でコントロールしたいのに、それができていなくて、でもどうしたら良いかわからなくて、どうにもできなくて適当に屁理屈こねて食事のせいにしてしまう感じ、めっちゃわかる。栄養はサプリでとって、カロリー考えず好きなもの食べたい。そんな未来が先にくるか、うまく食と付き合って慣れた方が早いか。

②の芦川さんについて、自分自身を一番大事にして、それでいてある程度は周りに察してもらって動いてもらった方が自分も助かるし、変に自分が無理して自滅して周りに迷惑をかけるよりも、まあ良いんじゃないかなっていう感じ、わかる。だから少しでも罪滅ぼししたいからお菓子もっていくよね、社会人としては有り。ずるいと思われるかもしれないけど、これで勘弁してほしいよね、甘えだと言われたら、甘えの部分もあるけど。でももしもこれをナチュラルでやってたら評価は変わる、まあお菓子もっていっている時点で考えてやっているよね。ただ、少しやり過ぎた感はあったかも。

③の押尾さんについて、物語の終始感じている押尾さんの気持ちはわかるし、自分も通ってきた道だし、ほとんどの人が気持ちはわかる、と思う人物像かなと。でも押尾さんの思考は、自分が逆の立場のいわゆる弱者になったことがなかったり、一方で上の立場になってそういった人の管理をしたことがないからなんだろうなぁ、と。若いね、28歳か、運が良いのか悪いのか、今の日本の一般的な職場だとそれは淘汰される側なのよね、経験したね。もう少ししたら時代は変わるかな。嫌がらせ方面じゃなくて給与とか待遇とか何かしらの改善方面にエネルギーを注げたら良かったのに。

元々聞いていたあらすじとちょっと違うから私も解釈するときにパニックになったけど、それにしても押尾さんはひどいよ。お菓子をぐしゃぐしゃに潰して捨てる二谷もひどいけど、それを元手に二谷を脅迫してあたかも二谷のせいにしようとして、自分のお菓子をゴミ袋にいれて芦川さんの机に置くなんて。でも最終的なつるしあげのキッカケになったお菓子は押尾さんじゃなくて二谷がやったものなのに、押尾さんがやったこととして認知されるのは残念。天誅か。二谷は逃げきれたけど、この後二谷と芦川さんはうまくいくのかな。